「おっちゃん。大宰府行くけど、来る?」
家内は時折、九州国立博物館を訪れている。
私はその都度、
やだ。
べらぼうな行列に並ぶのはまっぴらだね。
と、丁重に辞退していた。
しかし、家内がそれほどでもないと言うし、今回の展示が『鳥獣戯画』であると言うし、
んーーー、
じゃあ、行く。
西鉄電車で行く。
考えてみれば、二人で電車で遊びに行ったのは、東京に住む弟の結婚式の翌日、まだ小さい長女を連れて、3人で横浜に遊びに行った時以来である。

「おっちゃん、勝手に切符買うなよ!」
なんでも、博物館のチケットとのセット割があるらしい。

「ついてきな。」
あ、はい。

大宰府線は、二日市で乗換だ。
観光列車『旅人(たびと)』に運よく乗ることが出来た。
号車ごとにラッピングのテーマが違うし、スタンプ台や大宰府紹介のカウンターなどが社内に設けてある。
因みに、旅人というネーミングは、大宰府宮司が古の万葉歌人大伴旅人から名付けたとの事。

一番前の席に座ることが出来た。
研修中なのだろうか。試験管 試験官(かどうかは知らぬ)が同乗してきた。
いつもの妄想癖が出た。
『どどど、どうすかね。今のブレーキングは?』(見習い運転手)
『よかっちゃなかね。まあまあたい。』(試験管 試験官)
無論、私の単なる妄想である。
そういうシチュエーションであるかどうかも、かなり怪しい。

大宰府着
高校受験の大晦日の折、学問の神様である天満宮に合格祈願に来て、朝方までぶらぶらしていた事を思い出す。
そんな暇があるなら、とっとと帰って勉強せい!
と、
還暦を越えた今の私なら、当時の坊主頭の私に自信を持って説教できる。

太宰府天満宮参道

曲水の宴が行われる庭の対面に、

九州国立博物館はある。
ここは入り口で、ここからかなり長い距離をエスカレーターと動く歩道で移動する。

おい!
今、『50分待ち』って、看板が見えた気がするが、あれは気のせいか?
「・・・・・」(家内)

全面ガラス張りの建物が目の前にそびえる。
かっけーー

ドヒャーーーーー!
50分どころか、一時間半以上この行列に並んだ。
やっと、順番が来て中に入れると思ったら、
「本日は大変混雑しておりますので、立ち止まらないで見てくださーい!」
俺たちが、これから見るのは、
かつての、
上野のパンダか!
ただ、
すばらしかった。
画力の高さはもとより、なにより、表現力が素晴らしい。
擬人化された躍動感溢れる鳥獣たちが、生き生きと描かれている。
そこに繰り広げられる物語が手に取るように想像できるし、鳥獣たちの声が聞こえてきそうである。
それに、ギャグのセンスも現代と同じじゃないかと思えるぐらいだ。
「大変込み合っております。立ち止まらないで、お進みくださーい!」
ハイハイ。わかったよ。
他の通常展示物も見ごたえ十分。
私の好きな古代史関連の資料や、古伊万里展示など大変充実している。

なかなかに、よかったな。
茶店で梅枝餅でもくっていくか。
モグモグ
?
お前、
出かける前、行列なんて大したことない!とかなんとか言ってなかったか?